墓じまいの流れ|費用相場、手続きの方法、必要書類などについて解説します

墓じまいお墓/墓地/霊園

少子高齢化が進んだ現代において、継承者がいないためお墓が無縁仏となり、荒れ果てた状態で放置されるという問題が増えています。

そこで仕方なく墓じまいを考えるのですが、墓じまいには様々な手続きや事前準備が必要となります。これらの手続きや準備に不備があったりすると、思わぬトラブルが発生することになります。

そこでこのページでは、墓じまいに必要な書類や実行すべき手続等を解説する他、墓じまいに掛かる費用や注意点などについてまとめました。

墓じまいとは? そのメリットは?

墓じまい
墓じまい

「墓じまい」とは、墓地などのお墓から遺骨を取り出した後、お墓を撤去して区画を整地し、墓地所有者や霊園に区画を返すことでお墓での供養を終えることをいいます。

墓じまいをすることで無縁墓になるのを防ぐことができます

この「墓じまい」は、お墓に納められた遺骨を永代供養などで弔うため、先祖が無縁仏にならず墓地や霊園にも迷惑を掛けないというメリットがあります。

無縁仏になるとお墓は放置され、雑草は伸び放題で、墓石は汚れたり朽ちたりして、墓地は荒れててしいます。そうなると、まわりのお墓の所有者や管理者にも迷惑をかけてしまうので、そのような状態になる恐れがある場合、墓じまいを考えるのも良いでしょう。

墓じまいは、継承者がいなくて墓じまいをすることは仕方のないことですが、むしろお墓を放置するのではなく、墓じまいという形でけじめをつけることができるので、お墓の継承者不足に悩む現代人にとってありがたい選択肢となります。

墓じまいと改葬の違い

「墓じまい」のほかに、「改葬」ということが言われますが、これらは異なるものです。

墓じまいは「お墓で供養する形式を終わらせること」ですが、改葬は「お墓の引越し」です。お墓の供養を終わらせることではなく、遺骨を移動することです。

    墓じまいに必要な書類

    墓じまいに必要な書類

    墓じまいの際には、行政手続きをして法律的に問題がないように準備をする必要があります。

    それでは、墓じまいに必要な書類とはどのような書類なのでしょうか?

    墓地・霊園に提出する「改葬許可証交付申請書」

    お墓から遺骨を取り出して墓石を解体撤去するには、墓地・霊園に「改葬許可証」を提出する必要があります。

    「改葬許可証」は、墓地・霊園がある市町村役場で取得します。このとき「改葬許可申請書」を提出する必要があります。

    「改葬許可証交付申請書」に、現在お墓に納骨されてい故人の情報や改葬する理由などを書き込みます。この書類は、各市町村役場に提出して改葬許可証を発行してもらいます。

    なお、「改葬許可証交付申請書」の様式は地域によって様々です。1枚につき死亡者1人分しか書き込めない場合は、現在お墓に納骨されている人数分の枚数が必要になります。

    「改葬許可証交付申請書」は、各市町村役場の窓口やインターネットでダウンロード可能です。

    <実例>実例として、高知県○○市の「改装許可証交付申請書」をネットでダウンロードしてみました。「○○市 改装許可証交付申請書」で検索すると、検索結果の最上位に出ました。

    この書類の場合、「1名の死亡者の氏名」と、「他   名(別紙)」という記載方法となっています。
    別紙には1枚に7名分の死亡者の記入欄が設けられています。1枚で足りない場合は追加印刷します。

    下記は、「改装許可証交付申請書」の記入例です。

    改装許可交付申請書

    上記書類の(注意事項)には次のように記載されています。
    「※改装される志望者が複数の場合、この用紙には申請者と一番近い関係の方をご記入ください。改装を希望される他の死亡者全員については別紙にご記入ください。」

    改装許可交付申請書(別紙)

    死亡者の戸籍謄本

    死亡者の戸籍謄本は、遺骨の情報を確認する際に必要な書類です。死亡者の戸籍謄本は、「改葬許可証交付申請書」に添付します。

    この書類は、遺骨が古く身元がわからない場合でも、申請者と死亡者の関係を示すために必要となるものです。

    埋葬(納骨)証明書

    「埋葬(納骨)証明書」は、現在遺骨がお墓に納骨されていることを証明する書類です。この書類は「収蔵証明書」「遺骨埋葬証明書」と呼ぶこともあります。
    この「埋葬(納骨)証明書」は、「改葬許可証交付申請書」と一体化していることもあります。

    「埋葬証明書」は、現在お墓がある墓地・霊園の管理者に交付してもらいます。
    公営霊園の場合は市区町村が窓口になっている場合もあります。

    受け入れ証明書(永代供養許可証)

    受入証明書(永代供養許可証)は、取り出した遺骨の受け入れ先(新たな納骨先のお寺や霊園の管理者、永代供養を行う墓地・霊園や納骨堂の管理事務局等)に交付してもらう書類です。

    自治体によってはフォーマットをホームページからダウンロードすることができます。

    承諾書

    「承諾書」とは、現在のお墓の名義人と申請者が異なる場合に必要な書類です。

    例えば、高齢な両親の代わりに墓じまいの手続きを行ったり、名義人の代理で墓じまいを頼まれたりした場合は、必ず名義人からの承諾書が必要になります。

    申請者の身分証明書

    改葬許可の手続きを行う申請者は、効力のある身分証として運転免許証やマイナンバーカードなどを用意する必要があります。

    墓じまいに掛かる費用相場

    墓じまいに掛かる費用相場を詳細に紹介します。実際に墓じまいを検討する際の参考にしてください。

    墓じまいに掛かる費用相場

      墓石の解体費用8万円〜15万円
      改葬先の準備費用10万円〜100万円
      閉眼供養のお布施の費用3万円〜10万円
      離檀料費用10万円〜20万円
      書類作成に掛かる費用遺骨一体につき3千円

      墓石の解体費用:8万円〜15万円

      墓石の解体費用の相場は、8万円〜15万円です。

      解体費用は、区画の広さや、撤去する墓石の量、機材が使えるかどうかなどにも左右されます。お墓の規模が大きい場合、15万円以上掛かることもあります。

      費用を安く抑えたい場合は、複数の石材店から見積もりを出してもらいましょう。

      墓地に決まった業者(指定石材店)がいなければ、複数の業者から見積もりをとる「相見積もり」ができます。公営墓地やほとんどの共同墓地では指定石材店がいないこと多いので、最初の見積もりに不満があれば、相見積もりをするのもおすすめです。

      改葬先の準備費用:10万円〜100万円

      改葬先とは、取り出した遺骨を新たに供養する場所(寺院墓地や民営霊園、納骨堂、永代供養墓、樹木葬など)のことです。

      金額に10万〜100万円という大きな開きがあるのは、墓じまいの場合、永代供養されるケースが多く、どのような供養方法を行うかによって費用が変わるからです。

      費用が低額の例としては、他家の遺骨と一緒に埋葬される合祀墓の場合です。この場合、個人の区画を持つ必要がないため、10万円ほどの費用で供養できます。ただしこの場合、遺骨を後から取り出すことはできないので、注意が必要です。

      また、費用が高額の例としては、個人墓による永代供養の場合です。この場合、後から遺骨を取り出すことはできますが、墓石を費用、区画の管理費用などで、100万円前後の金額が必要になります。

      どのような供養をするかによって費用や埋葬方法も変わります。よく検討してから決めましょう。

      閉眼供養のお布施:3万円〜10万円

      閉眼供養は、お墓から遺骨を取り出す際に、お墓に宿っている故人の魂を抜き取るための儀式です。僧侶にお願いして行なう法要となります。宗派によっては「脱魂式」や「抜魂式」と呼ばれることもあります。

      開眼供養の際にお渡しするお布施の平均費用は3万円〜10万円ほどですが、寺院とのお付き合いの年数や深さ、檀家同士の取り決めなどによって金額は変わります。

      離檀料:10万円〜20万円

      離檀料は、寺院の檀家を辞める際に菩提寺にお渡しするもので、お布施と同じです。
      お墓を守っていただいたお礼や、お世話になったことへの感謝の「お気持ち」として包むものです。なりました。

      離檀料は、平均すると10万円〜20万円ほどですが、寺院によってはあらかじめ決められているところもあります。また、お付き合いの深さや年数でさらに多く用意することもあります。

      なお、特に寺院墓地などから、法外な離檀料を請求されたなどのトラブルが生じた場合、早めに弁護士などに相談してみましょう。

      まとめ

      墓じまいは、お墓を承継する人にとって大事な決断となります。

      墓じまいを行うことで、家族や子どもたちへの負担も軽減でき、お墓を無縁墓にする心配もなくなるというメリットがある反面、墓じまいを勝手に進めてしまうと、法律的な問題や様々なトラブルが生ずるおそれがあります。

      そのようなことにならないように、事前に、親族や墓地管理者とよく話をあってトラブルを避けるようにしましょう。

      墓じまいには必要な手続きが多いのですが、事前の準備で流れなどを確認しておくと、スムーズに進められるでしょう。

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