自然葬のなかでもよく知られている海洋散骨が人気ですが、人気の理由は何でしょうか?
海洋散骨には、メリットの他、思わぬデメリットもあります。特に、海洋散骨の場合、デメリットを知ることも非常に大切です。
海が好きで個人的には海洋散骨を望んでいるといっても、家族の了解がなければ後々、迷惑を与えてしまうことにもなります。
この記事では、海洋散骨のメリットとデメリットについてご紹介し、さらにデメリットをカバーする方法について、まとめてあります。
海洋散骨のメリット・デメリット

海洋散骨のメリット・デメリット
海洋散骨は高額の費用がかからない
お墓を新しく建てようとすると、かなりの費用が必要になるのが現状です。しかし、海洋散骨の場合は、粉骨費用などを合計してもその10分の1以下の費用で済む場合がほとんどです。
なお、海洋散骨は、業者に依頼せずに行うこともできます。この場合、費用は無料ですが、遺骨を粉骨する作業が大変になるため、粉骨だけを専門業者に委託するという方法もあります。
例えば、
・サーファーが友人の遺骨を業者に頼んでパウダー状に粉骨してもらい、サーフボードや小型ボートに乗って沖合で散骨するというケースがあります。
・また、釣り好きの人が、亡くなった釣り仲間の遺骨を粉骨して岩場で散骨したりするというケースがあります。
海洋散骨は維持費もかからない
海洋散骨の場合、お寺の僧侶に納骨のお経をお願いする必要がなく、お布施の代金が不要となります。当然、高額の戒名を付けるといったこともないでしょう。
墓地も必要ないので、霊園に払う管理料も不要です。従って、維持費も必要はありません。
また、海洋散骨の場合、一周忌や各種の法事は遺族や仲間同士で食事会などを行ったり、故人の写真を囲んで昔話で盛りあがるといった和やかな雰囲気で行われることが多いとのことです。
海洋散骨は、継承者問題がほとんどない
核家族化が進んだり、子供が都心に出て郷里の実家へ帰ることが少なくなったり、そのため先祖の墓地を訪れるという機会も少なくなっているのが現状です。
そんな社会状況において、海洋散骨を選択すれば、墓地の継承で悩むこともなく、また子供たちに墓地の継承を押し付ける必要もありません。
海洋散骨のデメリット

海洋散骨のデメリットとしては、次の点があげられます。
海洋散骨をするには、遺骨をパウダー状(約2mm以下)になるまで砕いて粉骨する必要があります。
海洋散骨したお骨は、当然手元に戻ってくることはありません。
さらに、遺骨を細かく粉砕するということに対して心理的かつ道徳的な抵抗感を覚える人もいます。
そういった意味で、海洋散骨を実施するには家族や親戚などの周囲の方によく理解してもらう必要があります。
以下に、海洋散骨のその他のデメリットを羅列します。
- 墓地に遺骨が残らない
- 遺骨をめぐり遺族の間でトラブルになることがある
- 散骨の場所(海洋)が遺族にとっては遠方になる可能性がある
- 許可なく散骨をすると違法になる場合がある
海洋散骨の場合、遺骨を海に撒くというスタイルをとるため、お墓に納骨した場合のように、命日や気分が向いたときにお参りに行くことが難しくなります。
なお、海洋散骨は違法ではありません。それについては、こちらのページに詳しく書いてあります↓↓
海洋散骨のデメリットを回避する方法
少量のご遺骨を手元に残すことも可能です
海洋散骨では、「お参りすることのできる墓がない」という問題がいちばんのネックとなるようです。
しかし、散骨を選択した場合でも、ご遺骨すべてを散骨しなければならないという訳ではありません。
遺骨の一部を手元に残す、遺骨でアクセサリーを作り手元に置いておく、といった形で、ご遺骨の一部をいつも身近に置いておくこともできます。
さらに、ミニ骨壺やペンダント、リングなどのように、手元供養するためのさまざまな商品が市販されていますので、いろいろと工夫することで自分の気に入った形で供養ができます。
なお、法要クルーズという形で、散骨した海洋で故人を偲ぶことで供養するというプランもあります。
このプランには、ご家族で船を貸切る家族(個人)法要クルーズと、合同散骨のときに合わせて行うリーズナブルな合同法要クルーズなどもあります。
散骨の際のマナーや注意点

海洋散骨を実施する前に、散骨のマナーと注意すべき点を知っておきましょう。
散骨エリアについて
日本では、散骨は法律で禁止されていませんが(容認されているのが現状)、死体等遺棄罪、墓地・埋葬等に関する法律をクリアする必要があります。
そのため、パウダー状に粉砕(2mm以下に粉砕)した遺骨をどこに撒いたらよいのか、具体的な決まりや内容を知ったうえで散骨の計画を立てるようにしましょう。
海洋散骨には、ある程度のモラルを守った方法で散骨をすることが必要です。とくに、散骨をする場所に関しては地域の決まりを守り、節度をもって行うことが肝要です。
特に、海水浴場のように人の多い場所や養殖場、漁場などは散骨を避ける必要があります。
まとめ
遺骨を散骨すると、子孫への様々な負担が無くなる一方、遺骨として後世に残すことができなくなります。
一方、葬儀費用や墓地に高額な費用をかけるよりは、海洋散骨や樹木葬などの新しい供養の方法を取り入れることで、お墓の継承問題などで家族や子孫を悩ませることがないようにすることも賢明な選択かもしれません。
いずれにしても遺骨を散骨ことは、家族の方や遺族の方とよく話し合って実行するようにしましょう。