● 葬儀の場において、祭壇などの周りに飾られている花を「供花(きょうか、くげ)」と言います。
供える花と書いて「供花」です。起源は、釈尊が入滅された時に天から宝花を降らせて供養したという故事からとの説があります。
現代でも、親族をはじめとし故人と親交のあった方が故人の霊を慰める気持ちを込めて贈ることが供花の意義とされています。
● この記事では、お葬式に供える供花の手配方法やマナー、相場などについてご紹介します。
供花の手配はいつする? いつ届ける? どこに依頼する?

お葬式に供える供花を手配するには、花屋または葬儀社に依頼します。
葬儀社に依頼する場合は、その葬儀を担当している葬儀社を知る必要があります。それには、葬儀会場に連絡し、供花を贈りたい旨を伝えて担当している葬儀社を教えてもらって連絡します。
供花を贈る人はだれ?
供花を贈るのは主に故人の親しい友人や近親者などですが、生前の様々なお付き合いの間柄で自由に贈ることができます。葬儀に参列できないという理由で、供花を贈る人もいます。
- 親族が贈る場合 …「喪主」「兄弟一同」「孫一同」「親族一同」等の名札を掲げて共同で供花を贈ります。
- 友人が贈る場合 …特に親しかった人は一人の個人名で贈ることもありますし、「友人一同」や連名という形で、共同で贈ることもあります。
- 故人と仕事上の関係のある人 …故人と仕事上のつながりがあった場合、「会社名」または「会社 代表者名又は連名」で贈ります。
- 喪主や遺族と仕事上のつながりがある人…喪主や遺族の勤務先、取引先が供花を贈る場合、「会社名」、「会社・代表者名」等の名札で贈ります。
<供花の並び順>
供花は、「故人と関係が深い方」から順に並べていきます。上記では1から4の順に飾られます。
具体的には、最も関係が深い近親者として、子供・兄弟姉妹・孫・その他の親族などが最初で、祭壇の中央近くから飾られます。
供花を手配する際に注意!依頼はいつする?いつ届ける?
一般的に供花を贈る際は、お通夜の前に会場に届くように調整します。
早めに届けることは「すでに準備をしていた」と悪い印象を与えてしまう恐れがあります。
周囲から事前に伝え聞いた場合でも、準備を始めるのは訃報を受けてからにしましょう。
供花の相場。ご遺族に気を使わせない費用で準備しましょう!
供花の平均的な相場は、一基7500円から15000円です。一対にして贈るならば倍の金額になるため、15000円から30000円程度です。
ですが、主流の価格帯は15,000~20,000円となっているので、このあたりの金額で選ばれることが多いようです。
なお、スタンド式の供花を手配する際は、ペアにすることが多いため倍の金額になります。
供花は豪華である必要はなく、高額の供花はご遺族に気を遣わせてしまうため控えたほうがよいと思います。常識的に判断して、適切な価格で選びましょう。
供花の種類
供花には故人の霊を慰めて哀悼の意を表する意味合いと、祭壇や会場を花で飾ることによって遺族の悲しみを和らげる意味合いがあります。
供花は故人と親しかった人や親族、遠方で会葬できなかった人から贈られます。
供花には、祭壇や会場に飾る花のほかに「枕花」「後飾り」「仏壇用の供花」「手元供養の供花」などがあり、飾る期間や飾り方が異なるため、花の選び方に違いがあります。
それぞれの供花に込められた意味合いや飾り方、選びたい花などをご紹介しますので、供花選びの参考にしてみてくださいね。
枕花

「枕花(まくらばな)」とは、故人の枕元に飾る花です。通夜の前から飾り、式場へも一緒に移動します。
花の色合いは白に限定されることはなく、落ち着いた色調の淡いピンクやクリーム、ブルーなどの花を添えることもあります。
大輪菊や白百合、トルコギキョウ、グラジオラス、胡蝶蘭、アンスリウムなどの大きな花の方が華やかに見えるので好まれています。
葬儀が終わった後は「後飾りの供花」として傷んだ花を取り除き、小さく活け直して飾ります。
後飾りの供花

「後飾りの供花」とは四十九日や埋葬の日の忌明けまで遺骨を安置する祭壇に飾る供花のことです。
卓上に置ける程度の大きさとします。
葬儀後から四十九日までの長い間飾ることになりますので、傷みにくい花を選びます。
長持ちする花として、洋ランのデンファレやオンシジウム、丸い形のピンポンマム、紫色のカーネーションなどが好まれています。
通夜や葬儀よりも少し色目のあるものを選び、故人が好きだった色合いの花を加えてみましょう。
仏壇用の供花

仏壇用の供花は「仏花(ぶつばな)」とも呼ばれ、古くから菊の花が使われています。菊の花の他にも、カーネーションやストック、スターチスなども使われています。
花の本数は3本、5本、7本のように奇数が良いとされています。
また、春にはアイリスやキンセンカ、夏にはグラジオラスやケイトウ、秋にはリンドウやナデシコなどの季節の花を組み合わせてもきれいです。
和花よりもカラーやデルフィニウム、トルコギキョウなどの洋花が組み合わせることが多く、バラなどを組み合わせることもあります。
手元供養の供花

手元供養は、故人の身近にいていつでも見守ってほしいと言う気持ちから、小さな骨壺やフォトフレーム、供花などを部屋に飾って故人へ祈りを捧げる供養です。
手元供養に用いる花瓶は一輪挿し程度の大きさのものを選びます。
花は、春には水仙や菜の花、夏にはキキョウやヒメユリ、秋にはコスモスやナデシコ、冬には寒椿やスミレなど、季節のものを活けましょう。
夏の間は花が傷みやすいので、生花ではなくアートフラワーやプリザーブドフラワーで飾られることもあります。
供花を飾る際のマナーは、お葬式の形式(宗教)ごとに違います
供花のマナーは宗教により異なります。供花を選ぶ際は、事前にお葬式の形式(仏式、神式、キリスト教式など)について御遺族に確認しておきましょう。
花の色は、派手すぎるイメージを与えないように、落ち着いた色合いのものを選択することが基本的なマナーです。
なお、宗教によっては、お供えの花が榊(さかき)や樒(しきみ)の場合もあります。

仏式・神式の葬儀にふさわしい供花

仏式・神式のお葬式や葬儀に用いられる供花は、菊・蘭・百合などの白い花をメインとした花です。
他の色の花を飾ることも可能ですが、派手にならないように調整します。
供花として生花を手配する場合、白黒や黒のリボン、水引をかけることが多く行われています。
地域によっては、葬儀場の周辺に、花輪を配置するところもあります。
キリスト教式の葬儀にふさわしい供花

キリスト教式では、ユリやカーネーションなどの白い花が供花として選ばれます。
仏式で用わる菊は、ほとんど使用されません。また、仏式とは異なり名札を付けることもしません。
キリスト教式の供花は、自宅宛に贈ることが原則とされています。
葬儀の多くは教会で行われるため、自宅から教会まで運びやすいように、花はバスケットに入れて贈ります。
このページのまとめ
このページでは、お葬式に供える供花の種類や手配の方法、マナー、相場などについてご説明しました。
供花を贈る際は、故人やご遺族に良かれと思って選んだ供花であっても、マナーを間違えてしまうとかえって迷惑になってしまうので、相手の立場になって考えることが大切です。
特に、供花を贈る際には、高価すぎるものになると返礼などについてご遺族の負担になるおそれもあるため、常識の範囲内で選ぶようにしましょう。