知人の訃報に接したとき、お通夜と告別式(葬式)のどちらに参列すればよいのでしょうか?
この記事では、
- お通夜と告別式のどちらに出るべきか?
- お通夜や告別式に参列する際にかけるべきお悔みの言葉は?
- お香典のマナーは? お香典の金額はいくら?
など、お通夜や告別式に参列する者が知っておくべきことについてまとめました。
お通夜と告別式の違いとは?

友人や知人の急な訃報を受けた時、
「お通夜に行くべきか、告別式に行くべきか、迷ってしまいました」
こんな経験がある方は多いと思います。
そもそも、お通夜と告別式はどのような違いがあるでしょうか?
お通夜は、親しい間柄の人たちが夜を通して故人を偲ぶため
お通夜の本来の意味は、故人の霊を悪霊から守るために夜通し線香とろうそくの火を絶やさないようにするというものでした。
しかし現在では、葬儀場や斎場などでお通夜を行うことが増えたため、夜通しでろうそくや線香の火をつけておくこともできず、夕刻から夜遅くならないうちに終わる「半通夜」というものが一般的になっています。
この「半通夜」で過ごす時間は2、3時間程度で、長居をしないのがマナーです。
そのため、お通夜には、家族や親族のほか、特に親しかった友人などが集って、飲み物や料理を囲みながら和やかに故人を偲ぶことになります。
告別式には、家族や親族のほか知人・友人なども参列できます
告別式は、家族や親族のほか、会社関係者や知人・友人などが集まり、故人と最期の別れをします。
告別式は出棺する前に行われる最後の儀式です。参列者としては、家族や親族のほか、会社関係者や知人・友人など故人の死を悼んでいる方であれば誰でも参列することができます。
ただし、火葬場まで一緒に行くには交通手段の都合もあり、通常、骨あげまでいられるのは家族や親族のほか親しい友人だけとなります。
お通夜と告別式、どちらに行くのか迷っています

では、お通夜と告別式どちらに参加するのが良いのでしょうか?
上記のように本来の意味を考慮すると、故人と親しい友人等の間柄であればお通夜と告別式の両方に参列し、知人や仕事関係の場合には告別式に参列するのが良いとなります。
ただし、最近では、告別式が昼間に行われるのに対し、夕方から夜間に行われるお通夜(半通夜の場合)のほうが参加しやすい、といった参列者の仕事などの都合によってどちらに参加するかを決めるケースが増えています。
このため、知人や仕事関係者であってもお通夜に参列するケースが多くなっています。
このように、日中に行う告別式に参列する都合がつかない場合、お通夜のみに参列することも問題ではなく、最近ではこのケースが普通になっています。
お通夜で家族や親族に対してかけるお悔やみの言葉は?

お通夜に参列した際にかけるお悔やみの言葉はどのような意味を持っているのでしょうか。
お悔やみの言葉の意味や由来に関する知識があれば、お通夜に参列した際、遺族に対して失礼のない礼儀作法で接することができます。
ここでは、お通夜に参列した際に遺族へかけるお悔やみの言葉の意味や、よく使われるお悔みの言葉をご紹介します。
お悔やみの言葉とは、どんな言葉?
大事な人を亡くして悲しんでいる遺族を慰める思いやりのある言葉がお悔やみの言葉です。
故人の死を悲しみ、遺族を慰める心情が、遺族と同苦して「悔やむ」という言葉に込められています。
しかし、そのように言葉の意味が分かったとしても、お通夜などで具体的にどのような言葉かければよいか分からないという方のために「お悔みの言葉」の使い方についてまとめました。
基本的なお悔やみの言葉
お通夜の際によく使用するお悔やみの言葉にはふたつあります。
「ご愁傷様です」と「お悔やみ申し上げます」という言葉です。
「ご愁傷様」という言葉は、「心の傷を愁(うれ)える」ということであり、相手を気の毒に思うという意味が込められています。つまり、「ご愁傷様です」 という言葉は、「気の毒に思っています」と相手をいたわる意味になります。
<注意>「ご愁傷様です」は会話で用いる言葉ですから、書き言葉で使用すると失礼にあたるとされています。その代わりに、「謹んで哀悼の意を表します」や「ご冥福をお祈りいたします」に代えてみましょう。
「お悔やみ申し上げます」は、故人の死を心から悲しむ気持ちと、故人の死を残念に思うという気持ちを表す言葉です。
弔電文でもよく使われており、話し言葉と書き言葉の両方で使用できるお悔やみの言葉となります。
お通夜で避けるべき言葉は?
お通夜で使用する「お悔やみの言葉」には守るべきルールがあります。
マナー違反となる言葉は、故人や遺族に対して失礼であり、不快感を与えることなります。
ここでは、葬儀の場で使ってはいけないNGワードとご紹介します。
葬儀の場で使用してはいけない言葉が「忌み言葉」です
「忌み言葉」とは、忌みはばかって使用を避ける言葉であって、縁起の悪いものや縁起の悪さを連想させる言葉のことを言います。
お通夜などのお悔やみの気持ちを表明する場では、死を連想させる言葉はNGワードとなります。
「死ぬ」や「死亡」などの直接的な言葉ではなく、「ご逝去」などの言葉を使うようにしましょう。
また、不幸な出来事が再び起きないように、「重ね重ね」や「くれぐれも」、「再び」といった重複を表す言葉もNGワードとなります。
その他の重複を表す言葉
重ね重ね、くれぐれも、再び、再三再四、わざわざ、たまたま、いよいよ、度々、皆々様、かえすがえす、重々、いろいろ、またまた、なおまた、しばしば、次々、再々、益々、どんどん、だんだん、みるみる、いよいよ、日々、ときどき
重ね言葉の言い換え
重ね言葉は言い換えることによって、忌み言葉の使用を避けることができます。
重ね言葉 | 言い換えた言葉 |
「重ねて」「重ね重ね」 | 「加えて」「深く」 |
「くれぐれも」 | 「十分に」「よく」「どうぞ」 |
「再び」 | 「いま一度」 |
「また」 | 「さらに」「改めて」 |
「再三」「何度も」 | 「大変多く」「頻繁に」 |
「度々」「しばしば」 | 「よく」「しげく」 |
「次々に」 | 「たくさん」 |
「返すがえす」 | 「後から振り返りますと」 |
「いろいろ」 | 「多くの」「多彩な」 |
「いよいよ」「ますます」 | 「さらに」「もっと」 |
「ぜひぜひ」 | 「ぜひ」「ぜひとも」 |
知っておきたい香典に関係したマナー

お通夜や告別式に参列する時、香典に関するマナーに気をつける必要があります。
良かれと思って行った事が失礼になる場合もありますので注意をしましょう。
ここでは注意すべき香典に関するマナーについてまとめました。
- 亡くなったという訃報を聞いてすぐに弔問する際、香典を持参すると失礼になる場合があります。理由は、すでに香典が用意されていたことで、亡くなるのを待っていたかのような印象を与えてしまうからです。
- お通夜と告別式の両方に香典を持参するのはマナー違反です。理由は、二度渡してしまうと、「不幸が重なる」という意味で失礼になります。
- お通夜と告別式の両方に参列する場合、お香典はお通夜のときに出して、告別式では記帳のみをします。
- どうしても都合がつかずお通夜にも告別式も出られないときは、参列できないことを遺族に伝えましょう。その場合、香典を渡す方法としては、代理を立てて渡してもらうか、郵送する方法があります。
- 代理を立てて渡してもらう場合、自分の名前の左側下方に「代」の字を添えます。こうすることで、香典を出した本人は葬儀に参列できなかったことを示すことができます。

お香典の金額は関係によって異なります
法事の香典 は、「一人1万円程度」が相場とみていいでしょう。
なお、下記に香典の金額に関する最近の常識にも変化があることを記載してありますので、ご参考にしてください。
故人が両親や兄弟というように近しい親族である場合、金額をもっと厚く包んで法要の支払いやお布施の一助にしてもらいます。ただし、会食がない場合は、金額を少なめにしてもいいでしょう。
なお、参列が一家で2人以上になる場合でも、倍額を包む必要はありません。お返し物は一家に一つだけですので、会食費用の人数分を想定して増額すれば十分です。
まとめ
葬儀の本来の意味を考えれば、故人の生前に深い関わりがあった場合はお通夜と告別式の両方に、それ以外であれば告別式に参列するのが常識です。
しかし、最近では、一般の参列者はお通夜のみに参列することが多くなっています。
確かに現代では本来の葬儀の意味が薄れてきていますが、大切な人を亡くした遺族の方たちの悲しみは昔と変わることはありません。
したがって、お通夜に参列するのか告別式に参列するのかは、あくまでも遺族の気持ちを配慮しつつ参列できるほうに行くようにしましょう。
また、いずれに参列した場合でも、遺族に対してお悔やみの気持ちを伝え、失礼のない弔問となるように基本的なマナーはしっかり守るようにしましょう。