葬儀や法要の際のお布施の渡し方、お布施の相場などについて

お布施の渡し方 相場お葬式 Q&A

葬儀の通夜式や告別式で読経をしてもらったときや、四十九日や一周忌などの法事や法要で、僧侶にお布施を渡す際に、金額としていくら包むとよいか迷ったことはありませんか?

この記事では、葬儀や法要などでお渡しするお布施の金額の相場や、お布施をお渡しする際の作法などについてご紹介します。

お布施はいつお渡しすればよいのでしょうか?お渡しの際の作法は?

お布施

お布施をお渡しするタイミングに決まりはない

葬儀や法事などで読経をしていただく僧侶にお布施をお渡しするタイミングに決まりはなく、僧侶の手が空いた時を見計らってお渡しします。

おすすめは、最初の挨拶の時または葬儀が終了した後の食事会にてお礼を述べる機会にお渡しするのが自然の流れです。

しかし、僧侶が忙しくて時間がないとか、食事は遠慮するようにしているとかの理由で、食事会に参加しない場合もあるます。
そのことを考慮すると、最初にお会いした際に挨拶をしながらお渡しをするのがいちばん無理のないことだと思います。

葬儀の読経に来てもらった僧侶に対する場合

葬儀では、僧侶が葬儀場へ到着すると、葬儀社や葬儀会場のスタッフから喪主へお知らせが入りますので、そのとき喪主が挨拶に向かった際にお渡しするようにします。
お渡しする際に、「本日は、お勤めをよろしくお願いします」と一言添えて感謝を表すようにします。

法要や法事で寺院に伺った場合

お寺で行われる合同法要の場合、受付が設置されていれば、受付の方にお布施を渡します。
受付の設置がない場合、法要の前に僧侶に挨拶を兼ねてお布施をお渡しするのが良いでしょう。

個人の法事で僧侶が家に訪問する場合、家に到着して挨拶をするタイミングでお渡しをします。
しかし、最初の挨拶の際にお渡しができていない場合、法事が終わったとき、またはお帰りになる際に互いに挨拶をかわすタイミングがありますので、その際にお渡ししてもよいかと思います。

お布施をする際にお礼の言葉を述べる

お布施の渡し方にはマナーがあります。

お布施は、読経の対価として支払うものではありません。
僧侶にお布施の金額を聞くと、「お気持ちで結構でございます」と答えることが多いのですが、まさにこの「お気持ち」を表すために受け取ってもらうのがお布施ですから、大切なことは感謝の気持ちを忘れてはいけないということです。

特に、遠方から来て頂いた場合には、そのお礼も加えて感謝を表すようにします。このとき、お車代を別途、お渡しするようにします。

お礼の言葉の例として

本日は母の葬儀に足を運んでいただき、ありがとうございます。
わずかではありますが、お礼をさせていただきますので、お受け取りください。

お布施をお渡しする際の作法として、切手盆に載せて渡します

お布施を直接手渡しするのはマナー違反となります。

お布施を手渡しする際には、お布施を切手盆に載せて、僧侶から見て正しい向きになるように差し出します。自宅でお布施を渡す場合は、普段使っている小型のお盆を使用して問題ありません。

このとき、お布施以外に渡すものがあれば、同時に渡します。

<お布施以外に渡すものとは>

お布施以外に渡すものとは、遠方から来ていただいた僧侶に渡す「お車代」、僧侶に食事代として受け取ってもらう「御膳料」などです。

「お車代」の相場は1万円ですが、実際にかかる交通費や宿泊費に1万円足した額を渡すのが一般的です。

「御膳料」は、僧侶が葬儀後の食事会に参加しない場合に食事代として渡すお金です。相場は1万円ですが、僧侶が食事会へ参加する場合は渡しません。
なお、神道やキリスト教の場合は「御食事料」と記します。

袱紗に載せて渡す

袱紗に載せて渡す

お布施を渡す際に、お盆がない場合は袱紗(ふくさ)に包んで渡します。

その際、お布施を袱紗に包んだ状態で僧侶に差し出し、お布施を袱紗から出した後、上記の写真のように袱紗の上に置きます。そして、僧侶から見て正しい向き(文字の向き)になるように回し、袱紗ごと持ち上げて渡します。

お布施以外に渡すもの(例えば、お車代、御膳料)があれば、このタイミングで同時に渡しましょう。

葬儀費用の内容別の相場

鎌倉新書で行った2022年の「第5回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀にかかった費用の総額は約110.7万円という結果でした。ただし、この金額は僧侶に支払うお布施料を除くものであります。

その内訳を見ると、基本料金(葬儀費用単体)約67.8万円、飲食費約20.1万円、返礼品約22.8万円という結果でした。

2021年に行った第4回の調査では、葬儀費用は約119万円でしたから、コロナの影響により参列者が減ったため、小規模な斎場となり、かつ小さな祭壇を用いたことで費用が下がったものとみられます。

2022年基本料金飲食費返礼品総額
全体67.8万円20.1万円22.8万円110.7万円
倉新書2022年「お葬式に関する全国調査」第5回

<各料金の内訳>

基本料金:斎場利用料、火葬場利用料、祭壇、棺、遺影、搬送費など、葬儀を行うための一式(固定費)
飲食:通夜ぶるまい、告別料理などの飲食(変動費*)
返礼品:香典に対するお礼の品物(変動費*)
総額:基本料金・飲食・返礼品の合計金額

第5回お葬式に関する全国調査(2022年/鎌倉新書)より

法事・法要のお布施は、平均3万~5万円程度

  • 法事・法要で支払うお布施の相場は、3万~5万円ほど
  • お車代として支払うお布施の相場は、5,000~1万円ほど
  • 「繰り上げ初七日法要」には、通常支払うお布施に初七日法要分の3万~5万円ほどを加えた額を包みます。
    ※「繰り上げ初七日法要」とは、本来故人の臨終から7日後に行うことになっている初七日法要を、葬儀の日に繰り上げて一緒に行う法要で、現代では一般的に行われています。
  • 三周忌法要以降は、1万円∼5万円が相場になります。

納骨のお布施は、平均1~5万円程度

納骨式は遺骨をお墓に納骨する儀式です。この納骨式にも僧侶に依頼して読経をお願いします。

納骨式のお布施の相場は3~5万円程度です。檀家になっているなど、お寺との関係が深い場合、それ以上の金額を渡すこともあります。

また、新しくお墓を建てる開眼法要、回忌法要を一緒に行う場合にも、別途お布施が必要です。
このとき別に渡すお布施の相場は、2~3万円ほどとなっています。

宗教の違いもありますが、神式の場合は仏式と変わりません。
キリスト教の場合は相場が1~5万円ほどになります。

さらに、納骨式に僧侶を呼んでいるので、御車代と御食事代を包む必要があります。
・御車代とは、僧侶が足を運んでくれたことに対する費用で、相場は1万円です。
・御食事代は納骨式のあとの食事会に僧侶が参加を辞退した場合のみ渡します。相場は1万円です。

お布施袋と書き方

お布施は、葬儀やお通夜などで遺族に渡すお香典やお仏前とは意味合いが違い、僧侶にお礼の気持ちで渡すものです。
したがって、あまり形式にこだわる必要はなく、水引のついた不祝儀袋を使わなくてもよいとされています。また、簡易な袋を使用したとしても、お坊さんに対して失礼になるということはありません。

ただし、仏事の種類や地域・宗派の違いなどにより、お布施袋にもいろいろなタイプのものが販売され使用されています。使い方を知っておけば、迷うことなく使用することが可能になります。

お布施袋を分けると、4つのタイプになります。

お布施袋の4つの種類

僧侶にお渡しするお布施袋には大きく分けて4つのタイプがあります。使われ方がそれぞれ違いますので、用途に適したタイプのお布施袋を選びます。

なお、どんな仏事でも共通して使えるお布施袋もありますので、知っておくと便利です。

1)水引なしの無地の封筒に「御布施」と書かれたお布施袋

このお布施袋は、水引が付いておらず「御布施」と印刷された市販の封筒になります。

※水引(みずひき)とは、祝儀や不祝儀の際に用いられ、包み紙などにかける紅白や黒白などの帯紐のことです。

この水引がついていない単純封筒タイプのお布施袋は、宗派を問わずあらゆる仏事で使えるので、どんなお布施袋がよいか迷ったらこれを選べば問題ありません。

なお、このお布施袋は、市販のものではなく、無地の封筒に自分で「御布施」と墨で書いて使用することもできます。

2)黒白の水引がついた不祝儀袋

黒白の水引がついた不祝儀袋は、通夜や葬儀のお香典用や、その後の仏事で遺族への御仏前を包む際に用いるのが一般的です。
地域によっては、お布施を包む際に用いられることもあります。

なお、お布施袋として使う場合は四十九日までの、いわゆる弔事が多く、それ以降の仏事には、水引なしの無地封筒に「御布施」と書かれたお布施袋を使うのが無難です。

3)黃白の水引がついた不祝儀袋

黃白の水引がついた不祝儀袋は、主に関西で用いられます。
この不祝儀袋は、一周忌以降の仏事で遺族に渡す御仏前を包む場合や、お坊さんに渡すお布施袋に用いられることが多いです。

なお、このような黄白の水引がついた袋を使用するのは一周忌からで、四十九日までは黒白の不祝儀袋を使用するのが一般的となっています。

4)双銀の水引がついた不祝儀袋

双銀(銀色×銀色)の水引がついた不祝儀袋は、黒白の水引の袋と同じように、一般的には通夜や告別式でのお香典や、その後の仏事で遺族に渡す御仏前を包む際に使用します。
地域により、お坊さんに渡すお布施や戒名料を包むお布施袋として用いられることもあります。

<注意>双銀の水引がついた不祝儀袋と黒白の水引がついた不祝儀袋との違いは、包む金額が比較的多い場合(5万円~数十万円)に双銀の水引がついた不祝儀袋を用いることが多いです。

寺院の格式が高く、お布施金額も相当料を要求される場合などは、双銀の水引がついたお布施袋を使用する例が多いです。

金額が高額でない場合(5万円以下)は、1)~3)のお布施袋を使用します。

お布施の表書きの書き方

次に、お布施袋の書き方について解説します。

・お布施袋の表書きは「お布施」「御礼」などが一般的です。
・下半分に施主の名前を書いてください。
・これは「○○家」のように家名を書いても、本人の氏名を書いてもどちらでも構いません。

神式やキリスト教では、「お布施」とはいわないので、「御礼」としておくのが無難でしょう。
牧師や神父ではなく、教会にお布施を宛てる場合は「献金」・「ミサ御礼」などとなります。

また、香典は薄墨で書くのがマナーとされていますが、お布施は宗教に関係なく、黒い墨で表書きを記入します。
薄墨で書くのが不幸を悼む気持ちを表していることを考えれば、お布施には当てはまらないこともわかるでしょう。

お布施の金額の書き方

お布施の金額は、できるだけ旧字体の漢数字を使用します。
参考「1:壱、2:弐、3:参、5:伍」

旧字体の漢数字を使用する理由は、数字の改ざんを防ぐためです。

金額の前に「金」と書き、包んでいる金額を表記し、最後に「圓」と書きます。

なお、金額が10万円以上の場合は圓のあとに「也」を付けるのが基本ですが、省略も可能です。

お布施に使うお札は新札を使います(お香典とは違います)

お布施に入れるお札は向きを揃えて肖像が封筒の表面になるように入れます。

お香典の場合、お札は旧札を使用するのがマナーですが、お布施の場合は新札で包むのがマナーです。

※お香典の場合、新札がタブーなのは故人の死を予想して予め新札を用意していたような印象を与えるためです。お布施の場合、僧侶に不幸があったわけではないので新札でも問題ありません。

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